血管外科
血管外科 概要
血管外科は、全身の血管(動脈・静脈)を専門に診る診療科です。足の血流が悪くなる病気や、大動脈のふくらみ(大動脈瘤)、下肢静脈瘤、透析シャントのトラブルなど、日常生活に関わる症状の軽いものから命に関わる重症な病気まで幅広く診療しています。ただ「軽い」下肢静脈瘤でも病気について正しい知識を持ち、病気の状態に応じた治療(または予防)を行わなければ長い間病気に苦しむことになります。
当院では、体への負担が少ない治療(血管内治療)と外科手術(バイパス手術等)を検討して、患者さんに最適な治療方法をお勧めします。人間は年をとってくるとだんだんと動けなく(歩けなく)なってきます。そのため、ひとは足、腰とともに老いる。または血管とともに老いると言われています。
「人は血管とともに老いる」
これは、今から100年以上前にアメリカのジョンズ・ホプキンズ大学で近代医学教育の基礎を作ったウィリアム・オスラー博士(William Osler: 1849~1919)の有名な言葉です。
私たちの身体には血液を心臓から全身に送る動脈と心臓に戻す静脈、そして細胞と血管の仲介をするリンパ管が巡っています。そこを流れる血液やリンパ液は身体を作る細胞の一つひとつに酸素と栄養を与え、老廃物を排出するのを調整しています。ところが常に血圧の刺激を受けている血管は、年齢を重ねるごとに弾力が低下したり、コレステロールや血の塊(血栓)が血管内に付着して狭くなったり傷ついたりして、酸素や栄養(ホルモンや細胞)が十分に行き渡らなくなり様々な病気を引き起こします。
当院血管外科の特徴
1. 体にやさしい治療を大切にしています
カテーテルを使った血管内治療や外科手術のそれぞれの長所短所を考えて患者さんに合った治療を心がけています。
2. 緊急の病気にも対応します
急に足が冷たくなる・しびれるなどの急性動脈閉塞や透析シャントが詰まった場合など、緊急の治療が必要な病気にも可能な限り対応しています。
3. 地域の医療機関と連携しています
かかりつけ医の先生方や地域内外の医療機関とも協力し、治療後の経過観察や生活習慣のサポートも行っています。
4. 禁煙は血管の健康にとても大切です
喫煙は、喫煙者本人だけでなく、周りの人の健康へも悪影響(受動喫煙)を及ぼします。
手足の血流が悪くなる病気(下肢閉塞性動脈硬化症LEAD/ASO、閉塞性血栓性血管炎(バージャー病/TAO)、慢性下肢虚血肢(CLTI)等)
・ 大動脈瘤/大動脈解離
・ 心筋梗塞・脳卒中
・ 悪性腫瘍
・ 齲歯(虫歯)
などの大きな原因になります。治療の効果を高め、再発を防ぐためにも、禁煙はとても重要です。
世界保健機構(WHO)の報告によると、加熱式たばこ(電子タバコ)が紙巻たばこと類似した心血管毒性を有することが示唆されています。
あなたの一歩(禁煙)が、未来の健康を守ります。
たばこをやめたい方へ当院は、禁煙をサポートします。
たばこは、心臓病や脳卒中、肺の病気(COPD)など、さまざまな病気の原因になります。
岩見沢市では、心臓病や脳疾患で亡くなる方が北海道より多いことが分かっており、禁煙はとても大切な健康づくりの一歩です。
禁煙の効果はすぐにあらわれます
- 20分後:血圧や脈拍が落ち着きます
- 1日後:心臓発作のリスクが下がり始めます
- 1年後:心臓病のリスクが約半分に
- 5年後:脳卒中のリスクが大きく下がります
「今からでも遅い」ということはありません。
「岩見沢市では糖尿病が多く、喫煙は腎臓の負担をさらに高めます。禁煙は透析を防ぐ最も効果的な方法のひとつです。」
「禁煙支援を受けた糖尿病性腎症の方は、透析移行ゼロという結果が出ています。」
全国・北海道・岩見沢市の比較(死亡統計・健康指標)
以下は、岩見沢市の特徴が一目で分かるように、死因構造・標準化死亡比・腎不全・糖尿病・心血管疾患を中心にまとめた比較表です。
① 主たる死因の割合(令和4年度)
(PDFの「主たる死因の状況」より)
| 死因 | 岩見沢市 | 北海道 | 全国 |
| 悪性新生物 | 50.3% | 53.3% | 50.6% |
| 心臓病 | 28.4%(+3.2pt) | 25.2% | 27.5% |
| 脳疾患 | 14.1%(+1.5pt) | 12.6% | 13.8% |
| 腎不全 | 3.6% | 4.5% | 3.6% |
| 糖尿病 | 1.1% | 2.0% | 1.9% |
岩見沢市の特徴
- 心臓病が北海道より明確に高い(+3.2pt)
- 脳疾患も北海道より高い(+1.5pt)
- 腎不全は全国と同等だが、北海道よりは低い
喫煙の影響が強く出る“心血管疾患”が多い地域構造
② 標準化死亡比(SMR)
(PDF「男女別標準化死亡比」より)
| 区分 | 岩見沢市 | 北海道 | 全国 |
| 男性 | 106.1 | 102.0 | 100 |
| 女性 | 100.4 | 98.9 | 100 |
岩見沢市の特徴
- 男性は全国比 +6.1%、北海道比 +4.1%
- 女性も北海道より高い
死亡リスクが全国・北海道より高い地域特性
③ 糖尿病・高血圧・心臓病(要介護認定者の有病率)
(透析リスクに直結する項目)PDF「要介護認定者の疾病別有病状況」より
| 疾患 | 岩見沢市 | 北海道 | 全国 |
| 糖尿病 | 27.0% | 24.6% | 24.3% |
| 高血圧症 | 49.3% | 50.0% | 53.3% |
| 心臓病 | 54.2% | 55.3% | 60.3% |
岩見沢市の特徴
- 糖尿病が北海道・全国より高い(透析リスク上昇)
- 高血圧・心臓病は北海道よりわずかに低いが、絶対値は高い
糖尿病 × 喫煙 → 腎症進行 → 透析リスク増大という構造が岩見沢市では特に強く働く。
「岩見沢市では、心臓病と脳卒中で亡くなる方が北海道より多い。その最大の改善ポイントが“禁煙”です。」
「たばこをやめると、心臓病のリスクは1年で半分になります。」
「禁煙は、あなた自身だけでなく、地域の健康を守る行動です。」
美唄市受動喫煙防止対策について
同じ空知地区の美唄市では日本で初めて受動喫煙防止条例を2015年(平成27年)に制定し、2020年(令和2年)4月にさらに内容が強化しました。
この条例の特徴は「自らの意思で受動喫煙を防ぐことが難しい人」(特に子どもや妊産婦)を守ることに強い重点を置いている点です。
美唄市の条例が他自治体より厳しいと言われる最大の理由は、学校や公園などの施設周辺「100m以内」での喫煙を制限(配慮義務)している点です。
目的の明確化
これは「子どもが目にする場所で吸わせない」という防煙教育の側面が強く、将来の喫煙率を下げるための先行投資という性格を持っています。
また、美唄市は「まち全体で子どもや健康を守ろう」「おいしい空気のまち」のメッセージを掲げて、健康保険が適用される禁煙治療を完了した人を対象に、美唄市では自己負担分を最大2万円まで助成しています。
2万円の助成金がもたらす「経済的成功」
禁煙外来への最大2万円の助成は、自己負担額をほぼゼロに近づける設定です。
- 現役世代の取り込み: 治療を完了した人の多くが40代〜60代の働く世代であり、血管疾患のリスクが高まる前に「卒業」させることに成功しています。
- なぜ美唄市がここまで禁煙に注力するのか。その理由は、地域の死亡統計データにあります(美唄市データヘルス計画より)。
地域の死亡統計データ(美唄市データヘルス計画より)
| 疾患カテゴリー | 標準化死亡比 (SMR) | 全国平均との比較 |
| 腎不全 | 151.0 | 極めて高い |
| 脳血管疾患 | 112.7 | 高い |
| 虚血性心疾患 | 83.7 | 低い |
※SMR(Standardized Mortality Ratio)は、全国平均を100とした場合の数値です。
特に腎不全(151.0)や脳血管疾患(112.7)の数値が非常に高く、これらのリスク因子である「高血圧」や「糖尿病」、そしてそれらを悪化させる「喫煙」を食い止めることが、市にとっての最優先事項となっています。血管系の疾患を未然に防ぎ、人工透析への導入を抑制することが、市民の健康寿命と市財政(医療費)の両面で不可欠なのです。
リンク
美唄市受動喫煙防止対策について、詳しくは下記リンク先をご覧ください。
血管の病気について、詳しくは下記リンク先をご覧ください。
医師紹介
松井 欣哉
役職
診療部長
資格
日本外科学会 外科専門医
日本脈管学会 脈管認定医
日本脈管学会 指導医
日本血栓止血学会 認定医
VAIVT認定専門医
VAIVT血管内治療医
下肢静脈瘤に対する血管内治療実施基準による実施医
医学博士(北海道大学)
日本医師会認定 健康スポーツ医
安東 悟央
役職
医長
朝田 政克
役職
医師
資格
日本外科学会 認定医