当院は南空知地域の基幹病院です。そのため、立場上、以下のような疾患を有する患者さんの診療を中心に診療しております。
新規発症の蕁麻疹では、アナフィラキシー(呼吸困難、ショック症状、嘔吐下痢を伴います)の有無が重大問題です。
もし、アナフィラキシーを併発している、あるいはその疑いがあるならば、その治療(アドレナリン筋注)は急を要します。
また、さらにアナフィラキシー再発時への対策(エピペン携帯)も必要になります。
アナフィラキシーを伴わない急性蕁麻疹(発症後6週間以内の蕁麻疹)、あるいは慢性蕁麻疹(6週間以上の罹病期間)であっても、通常の治療(抗ヒスタミン薬、別名 抗アレルギー薬)で治らない蕁麻疹も少なくありません。
当科では主に治療抵抗性の患者さんの治療を担当いたします。
アトピー性皮膚炎では治療抵抗性の患者さんを中心に診療しています。
なお、高齢者の治療抵抗性の湿疹にも対応しています。
高齢者は内臓悪性腫瘍を含め、さまざまな基礎疾患を持っています。また、多くの薬剤を内服中です。
それらを総合的に判断して治療しなければなりません。
接触アレルギーの原因を調べるために、パッチテストを行っています。
この検査のためには、週3回の来院が必要です。
受診していただいた際にその検査予定を立てます。
外用剤、紫外線治療、免疫抑制剤、分子標的薬など、いろいろな治療法があります。
なお、当院では高額療養費制度を使った生物学的製剤(分子標的薬)による治療は行っていません。
しかし、必要ならば、札幌の病院に紹介しております。
全体的には高齢者に多い疾患です。
口腔粘膜や全身の皮膚などに、大小の水疱、あるいは潰瘍を形成する疾患です。
高齢化社会の進展に伴い、患者さんの数は増加しています。
まず、血液検査、皮膚生検を行い診断を確定しなければなりません。また、悪性腫瘍、糖尿病などの基礎疾患の有無や、薬剤歴をチェックして、患者さんの全体像を把握しなければなりません。
そしてステロイドの全身投与が必要になります(その際、基礎疾患として糖尿病があれば、治療が難しくなります)。
大量のステロイド投与が必要ならば、入院が必要になります。
薬疹とは、薬剤を原因とする皮膚疾患で、免疫の仕組みを介して、さまざまな形態をとりながら出現します。
その中でも、スチーブンス・ジョンソン症候群/中毒性表皮壊死症や、薬剤性過敏症症候群という臨床型は、生命に危険を及ぼす重症薬疹です。
早期診断、早期治療がぜひ必要です。
悪性腫瘍の治療に使われる化学療法剤、分子標的薬、そして免疫チェックポイント阻害薬なども、いろいろな皮膚症状を引き起こします。
代表的なものとしては、手足症候群、ざ瘡様皮疹、乾燥性皮膚炎、指趾の爪囲炎などが挙げられます。
これらの症状は、皮膚有害事象と呼ばれます(普通、アレルギーや薬疹とは言いません)。
また、従来から存在する皮膚疾患が薬剤によって再発、あるいは悪化することもしばしばあります。
このように薬剤と皮膚症状の関わりは大変複雑で面倒なことが多々あります。
その診断治療には皮膚科の関わりが必要な場合が少なくありません。
当科では、蜂窩織炎や、壊死性軟部組織感染症などの重症感染症にも対応しております。
生命に危険を及ぼす場合、大きな手術が必要な場合などには、札幌の病院へ紹介します。
当科では皮膚外科に広く対応しています。日帰り外科手術です。
年間数百例の手術を行っています。
Q-スイッチ付きルビーレーザーを有していますので、シミ取りに対応しています。(保険外診療)
高齢化社会の進展により、皮膚悪性腫瘍は珍しい疾患ではありません。
皮膚良性腫瘍と同じく、日帰り外来手術で幅広く対応しております。
日光角化症は外用治療(ベセルナクリーム)も可能です。
悪性黒色腫(メラノーマ)は、その可能性が高いと判断すれば、札幌の病院へ紹介いたします。
糖尿病の患者さんは増えています。
糖尿病では、足病変の有無が大きな問題です。神経障害、血管障害、そして感染症により、足の切断に至る場合が少なくありません。
当病院全体の取り組みとして、フットケア外来も行っています。
全体表面積の15%以上の熱傷や気道熱傷は重症熱傷です。札幌の病院での入院治療(3次救急)が必要です。
それ以外の軽症熱傷は当科で治療いたします。
湿潤療法を基本に置き、痛くない、そして早期にきれいに治す治療を行っています。
高齢化社会の進展により、自宅、あるいは施設内で褥瘡(いわゆる床ずれ)を持つ患者さんは増加しています。
また、褥瘡は細菌感染症を合併して、場合によっては生命に危険を及ぼす場合もあり得ます。
褥瘡のケアや治療には、解決しなければならない難しいことがたくさんあります。ご相談ください。
下肢に壊疽や潰瘍を認めた場合、まず第一に、ABI、SPPなどの検査を用いて下肢末梢循環障害の有無を確認する必要があります。
もし、循環障害が疑われたならば、循環器内科や血管外科へ紹介して精査を依頼いたします。
壊疽や潰瘍自体の治療は当科で担当します。
当科では、軽症ならばコットン法、重症ならばフェノール法(保険診療)を用いて治療することが比較的多いです。
なお、ネット上では、フェノール法は後遺症を残すので行うべきではないとの意見が流布されていますが、これは誤解です。
術式としては基本的に全く問題ありません。簡単に半永久的に治癒させることが可能です。
後遺症を残すのは、単に手技(手術)がうまくいかなかったためです。
当科は経験豊富ですので、問題なく手術可能です(ただし、若い患者さんはできるだけ施術しないで済ませます)。
希望があれば、ワイヤー法(保険外診療)など、他の治療法も行います。
<設置機器>
ルビーレーザー、色素レーザー、ナローバンドUVB、エキシマライト、サージトロン
医師